政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
続いて出てきたのは、冬野菜とフォアグラのポアレ。そして、和牛のスープ、リゾットが添えられた鮑の香草焼き。スペシャリテソースの伊勢海老の鉄板焼き……と、どんどん料理が提供される。
口休めのグラニテを挟み、ようやくメインのフィレ肉のステーキが置かれた。
北の大地で育ったという、雪降り和牛は通常の霜降りよりも甘みが強い。簡単に噛めてしまうほど柔らかく、旨みがギュッと凝縮されていた。
ガーリックライスには、贅沢にも同じ和牛をしぐれ煮にしたものが使われている。デザートのパンケーキとフルーツを食べたあとは、さすがに限界だった。
けれど、どの料理も本当においしくて……。すみれは、今夜だけで何度『おいしい』と口にしたかわからない。
そんなすみれを見る彼は、どこか優しい目をしていた気がした。
「今日は本当にありがとうございました」
お礼も、もう何度目になるだろうか。
車内でも帰宅後も、そしてお風呂を済ませた今も繰り返すすみれに、慧が苦笑を零す。
「お礼ならもう充分だ。そんなに何度も言わなくてもいい」
「でも、本当に嬉しかったんです。プレゼントやディナーもですが、慧さんが私の誕生日を祝ってくれたことがすごく嬉しくて……」
彼はなにも言わなかったが、やっぱり今夜は顔つきが優しい気がする。
すみれはこの時間がずっと続けばいいと思ってしまうが、今日はもう終わる。二十三時半過ぎを差す時計を確認した慧が、「そろそろ休もう」と言った。
「そうですね」
これ以上望むのは、贅沢すぎる。頭ではそう思うが、心は名残惜しさを感じていた。
けれど、楽しかった時間に水を差したくなくて笑みを繕う。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
自室に移動すると、幸せと微かな寂しさを抱いてベッドに入った。
プレゼントよりも、高級なディナーよりも、彼と過ごせたことが嬉しい。
なによりも、今日の慧はずっとどこか優しい表情をしていて……。彼との距離がほんの少しだけ近づいた気がしたことが、一番の幸福だった。
口休めのグラニテを挟み、ようやくメインのフィレ肉のステーキが置かれた。
北の大地で育ったという、雪降り和牛は通常の霜降りよりも甘みが強い。簡単に噛めてしまうほど柔らかく、旨みがギュッと凝縮されていた。
ガーリックライスには、贅沢にも同じ和牛をしぐれ煮にしたものが使われている。デザートのパンケーキとフルーツを食べたあとは、さすがに限界だった。
けれど、どの料理も本当においしくて……。すみれは、今夜だけで何度『おいしい』と口にしたかわからない。
そんなすみれを見る彼は、どこか優しい目をしていた気がした。
「今日は本当にありがとうございました」
お礼も、もう何度目になるだろうか。
車内でも帰宅後も、そしてお風呂を済ませた今も繰り返すすみれに、慧が苦笑を零す。
「お礼ならもう充分だ。そんなに何度も言わなくてもいい」
「でも、本当に嬉しかったんです。プレゼントやディナーもですが、慧さんが私の誕生日を祝ってくれたことがすごく嬉しくて……」
彼はなにも言わなかったが、やっぱり今夜は顔つきが優しい気がする。
すみれはこの時間がずっと続けばいいと思ってしまうが、今日はもう終わる。二十三時半過ぎを差す時計を確認した慧が、「そろそろ休もう」と言った。
「そうですね」
これ以上望むのは、贅沢すぎる。頭ではそう思うが、心は名残惜しさを感じていた。
けれど、楽しかった時間に水を差したくなくて笑みを繕う。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
自室に移動すると、幸せと微かな寂しさを抱いてベッドに入った。
プレゼントよりも、高級なディナーよりも、彼と過ごせたことが嬉しい。
なによりも、今日の慧はずっとどこか優しい表情をしていて……。彼との距離がほんの少しだけ近づいた気がしたことが、一番の幸福だった。