愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
幼い頃は、大人になったら好きな人と結婚するのだと思っていた。
 そしてこの年まで、それが当然のことであると信じて疑うことすらなかった。

 お父様とお母様は下級貴族の夜会がキッカケで出会い恋をした。俗にいう恋愛結婚というやつだった。

 それは私のお父様とお母様に限ってのことではない。他の親戚もみんなそうなのだ。

 出会う場所こそ違うものの、お互い愛し、そして生涯を共にすることを神様に誓って結婚した。

 だったら私もって思うのがごく自然のことであろう。
 たとえ私の家が代々国から『貴族』という役職を賜っていようが、関係のないことだと思っていた。

 私が生まれ育った、サンドレア領はお世辞にも少しとは言えないほどに王都から遠く離れた場所に位置している。

 王都へ行くためにはどんなに条件が良い日であっても馬車を走らせて三日以上はかかるし、雨なんか降った日には馬が泥に足を取られて進めないから倍はかかる。そんな少々不便な土地なのだ。

 けれどいいところだってもちろんある。

 サンドレア領は緑が豊かで夏にはたくさんの作物が実るのが自慢なのだ。
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