愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 周りには六つの山があり、秋にはたくさんの木の実や山菜が収穫できる、というのも他の領地に誇れるものである。

 広さは実に王都の面積の六倍以上はあるものの、人口密度は低く、ご近所づきあいは盛んに行われ、貴族や平民なんて地位の境はほとんどなく心の温かい住民たちに囲まれて育った。

 お父様やお母様が頬を赤らめて話す『恋』なんてまだ一度もしたことはなかったけれど、それでも私は幸せに暮らしていた。

 そんなある年にサンドレア領では、日照りが続いた。
 人の皮膚すら焼いてしまうほどの日差しは身体中の皮膚を覆い隠さなければ皮膚がはがれてしまうほど。山の間を流れる川は例年と比べてグンと水位は低くなり、畑には何度水をかけようがすぐに蒸発してしまった。

 結果として秋になっても多くの作物は実をつけることはないままだった。
 実になれたものですら形は小さく、とてもではないが売りには出せなかった。主な収入源が野菜、それも夏に育つ野菜だった領地のこの年の収入は半分以下。それでも住民同士支えあって何とかその年を越せた。

 けれどその翌年は前年とは真逆のことが起きた。
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