愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 始まりは確かに借金のカタにだったけど、結果的に見ればカリバーン家に嫁入りが決まらない娘を引き取ってもらった形になっているではないか……。

 ご家族が揃いも揃って歓迎するほどにラウス様が何かしらの大きな問題を抱えていたとしても、私も中々にポンコツだ。

 それなのに下級貴族が一代では払いきれないほどの大金を叩いて、引き取った役に立たない娘に高待遇をして。さらにここに気持ちがあればまだしも、人違いときた。

 カリバーン家側は損しかしてないといっても過言ではない。

 勘違いをしたのはラウス様の方で、顔を見てもなお勘違いをし続けているのだから私に非はないのだろうが、家を助けてもらった恩がある。

 長年の夢を諦めなければいけなかったが、嫁にもらってもらった恩も少しだけあったりするわけで……。

「はぁ……」

 再び大きくて長いため息をつくと背中のドアが小さく振動した。

「モリア様、お着替えをお持ちいたしました」
「あ、はい!」

 身体をぐるりと反対に向け、ドアを開けると昨日と同じ様に何着ものドレスを腕にかけた使用人が部屋へと入ってきた。

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