愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 自分にいいように考えてしまっているだけかも知れないけれど、私が一度に処理出来ることなどあまり多くはないのだ。

 サンドレア家の借金返済のために、ラウス様の本当の想い人が見つかるまでの間、カリバーン家の、ラウス様の隣で彼を支えればいい。

 細かいことは抜きにしてこの大きな目標を達成できるように励めばいいのだ。
 困ったことがあったらその都度対処していく。そうと決めてしまえば、もう迷うことなどなにもない。

 差し出された手に遠慮なく自分の手を重ねるとラウス様は今までにもたくさんの令嬢を魅了してきたのであろう、蕩けてしまいそうな顔で微笑みを浮かべる。

 こんな顔を向けられたら、人違いでもラウス様が幸せならそれでもいいかな、なんて思ってしまいそうになる。

 これじゃあ夜会にいる令嬢を野生のケモノみたいだなんて言えない。
 彼女達もこの微笑みに魅了されてしまったに過ぎないのだろう。


 こんなの……一発で落ちるに決まってる。


 もう一度その微笑みを浮かべて欲しくて、自分だけに向けて欲しくて。貪欲と思われようが、手を伸ばさずにはいられないのだろう。

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