愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 だから今日は元々軽めに済まそうと思っていた。それなら空いた時間にこなせばいいだけ。

「本当ですか! なら今からでもみんなで!」

 私の返答が予想以上だったらしく、アンジェリカ様の瞳は一層輝きを増していく。

「……それはダメだ。俺とお父様の食事が間に合わなくなる」

 アンジェリカ様の提案を拒むことに少しだけ躊躇ったのは、きっとすぐに否定してしまってはアンジェリカ様を可哀想に思ったのだろう。

 けれどそれよりも出勤前の朝食の重要性の方が勝ったというわけだ。
 さすが朝食を大事に考えているラウス様だ。こんなに可愛らしいアンジェリカ様の上目遣いにも折れかかることはあれどなんとかたち直す。

 するとアンジェリカ様はテディベアを抱きかかえながら口を一文字にしながら思案する。

「それは、まぁ、そう……ですわね……。お兄様とお父様を仲間外れにしたらかわいそうですものね……」

 つい昨日『仲間外れ』にされたばかりのアンジェリカ様は同じ思いをお義父様やラウス様にさせたくはないのだろう。

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