愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 そこまで私との食事がお義父様やラウス様にとって重要かどうかはさておきとして、アンジェリカ様にとってはとても重要なことらしい。理由はわからないが光栄なことだ。

「ああ、だから昼食とお茶で我慢してくれ」

 ラウス様はうーんと唸るアンジェリカ様を励ますため、彼女の頭を撫でようと手を伸ばす。すると、ばっとアンジェリカ様は上を見上げた。

「あ! でしたら、夜。夜なら大丈夫ですわ!」

 必死で見つけ出した答えをどうだ! とばかりにラウス様に突き出すアンジェリカ様。その答えが否定されることを一切疑っていない。

 窓から差し込む日の光か、天井から吊されたライトの光なのか、それともその両方なのか、それらはアンジェリカ様の元に一気に集まって彼女を照らしているみたいだ。

「…………モリアはそれでいいか?」

 それなら仕方ないかと抵抗することを諦めたらしいラウス様は申し訳なさそうな顔でこちらを伺った。

「ええ、構いません」

 私もアンジェリカ様には勝てそうもないのだからそう答えるしかない。

「! シェード、シェード!」

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