愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
ラウス様とお義父様の乗る馬車が去って行った後で、微笑みを交わしながら見送る姿はまるで愛し合う夫婦のようだったなんて思ってしまう。
こんなこと、ラウス様が人違いをしてくれなければ経験することはなかっただろう。
これは紛い物だけど、それでも確かにここにある、私が経験したものなのだ。
カリバーン家に来て、また楽しい思い出が出来たことに胸のあたりが温かくなった。
ラウス様の馬車を見送った私はその場を離れがたく感じていた。
あと何回この経験ができるかわからないならできる限りその時間が長くあってほしいと思ったのだ。
けれどラウス様と手を離してから時間が経つにつれて、当然のことながら馬車は屋敷から遠ざかって行く。
いくら視力には自信があるとはいえ、その姿を捉えるのには限界がある。
せいぜい馬車の色を捕らえられたのは初めの数分だけで、後は街道沿いの緑に紛れてしまってどれがラウス様達の乗る馬車なのかわからなくなってしまっていた。
それでもしばらくの間、ハーヴェイさんに「モリア様、そろそろ中へ」と促されるまでずっとその場で馬車の背中を追っていた。
こんなこと、ラウス様が人違いをしてくれなければ経験することはなかっただろう。
これは紛い物だけど、それでも確かにここにある、私が経験したものなのだ。
カリバーン家に来て、また楽しい思い出が出来たことに胸のあたりが温かくなった。
ラウス様の馬車を見送った私はその場を離れがたく感じていた。
あと何回この経験ができるかわからないならできる限りその時間が長くあってほしいと思ったのだ。
けれどラウス様と手を離してから時間が経つにつれて、当然のことながら馬車は屋敷から遠ざかって行く。
いくら視力には自信があるとはいえ、その姿を捉えるのには限界がある。
せいぜい馬車の色を捕らえられたのは初めの数分だけで、後は街道沿いの緑に紛れてしまってどれがラウス様達の乗る馬車なのかわからなくなってしまっていた。
それでもしばらくの間、ハーヴェイさんに「モリア様、そろそろ中へ」と促されるまでずっとその場で馬車の背中を追っていた。