愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 これでは肩幅に足は開けないし、そもそも運動をするような服ではない。今までは動きやすさ重視の服を着ていたせいか、そんな当たり前のことにも気づけなかったというわけだ。

 だからといって運動をするための服が欲しいとラウス様に頼めるかというと答えはノーだ。

 そうなれば、今のところ私ができる筋力トレーニングって腕立て伏せだけということになる。


 あんなに気合いを入れといて……だ。
 ダメじゃないか、私!

 腕立て伏せしかできるものがないからといってそれだけで一日潰すなんてできるはずがない。日が暮れるより先に私の腕が潰れる。

「はぁ……」

 初日ということもあり、過去にお兄様達が1セットとしていた100を越えたあたりで終わりにする。すると途端に暇になってしまった。

 ベッドに身体を預け、目だけであたりを見回すとやはり必要なもの以外何もない部屋だなぁと実感する。

 親切なラウス様が用意した部屋がこうなのはきっとその人の好みがよくわからなかったというのが理由なのだろうけれど、もう少しなんか置いた方がいいと思う。

 例えば花瓶に花を生けるだけでも違う。
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