愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 何のために採寸していたのかは不明であるが、一応お礼の言葉を返すと複数人いた女性達は三歩ほど後ろへと下がった。

 こうして私は二時間にも及ぶ採寸を終え、やっと解放された。

「終わったのか?」
「あの、お待たせしてしまい申し訳ありません」
「いや、君が気にすることではない。それに、待っている時間も非常に有意義なものだった」

 私が採寸をしてもらっている間、ずっとカーテンの向こう側で待っていてくれたらしい、カリバーン家のご長男、ラウス様が顔を出した。

 城勤めで忙しいであろうに時間を割いてしまって申し訳ない。こんなに優しい彼が今後の雇い主になると思うと初めから好調な滑り出しだといえよう。

 カリバーン家の中でもラウス様に引き取られるとわかっていれば、『結婚』なんて恥ずかしいこと一瞬でも考えなかった。

 ラウス様といえば今、社交界の最良物件として令嬢の中で噂の的となっている。
 それも田舎暮らしの下級貴族達の間でも噂になるほどに、だ。

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