愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 農作業が終わるのは大抵、昼を少し回った頃になる。
 昼食をとった後は工芸品作りに取り掛かる。農作物ほどではないがこれも立派な収入源になるからだ。

 雨の降った日にはおばさまたちの家に行ってはお茶をごちそうしてもらったり、おじさまたちには細かい模様の入った籠などの、まだ一人では完成させられない、難易度の高い工芸品の作り方を教えてもらったりしていた。


 それは貴族のすることではないと昔、貴族の友人に言われたことがある。
 それでも日課なのだからやめられずに今まで続けてきた。

 けれどそれらが貴族として普通ではないことくらい重々承知している。それでも私はそういう人間で、家族や領民の皆さんはそんな私を止めようとはしなかったからだ。

 だからもし畑を耕す役目とか工芸品を作る役目とかだったら役に立てそうな気がしなくもない。

 だがもしそうならこんな煌びやかな店でわざわざ採寸して作った服じゃなくて、量産型の動きやすさ重視の服がいい。

 任されるかもわからない作業に頭をこねくり回していると一人の女性から「終わりました」と声をかけられる。

「ありがとうございます」

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