愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 どこへ行くのか、何を目的に行くのかもわからないがどちらにせよこの辺りは領地の山とは違って土地勘がないため、好き勝手は出来ないだろう。

 まぁ今さらどうする気もないが……。
 だが太陽の下を歩くだけでも楽しい気分になることだけは確かだ。

 出来ることなら無心でひたすらに歩き続けたい。ヒールは疲れるので裸足で。草原の上を歩いたりしたら絶対に楽しい。…………私だけが。

 明らかにラウス様は楽しくないだろう。

 ひたすら歩き続ける私と木陰で本を読むラウス様の姿が簡単に予想できる。わざわざ好きでもない女と外出してまで本を読む意味がわからない謎の光景だ。

 そんなことより根本的な疑問なのだが、せっかくの休みを私なんかと過ごしていいのだろうか?

 買い物に行くにしても荷物持ちくらいにしかならないだろうに。

「本当に今日、どこに行くんだろう?」

 眠いことなど頭からは離れていき、その疑問が頭の大半を占める。
 まるでお出かけに連れて行ってもらえる子どものようだ。自分の意思だけで外出が決められない今の状況はまさしく子どもと一緒といえばそうなのだが……。

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