愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 そして壊したりなんかしたら借金がカサを増していく、なんとも恐ろしいアイテムなのだ。

「借りる、じゃなくてあげるのよ。モリアちゃん、荷物はほとんど持ってこなかったし、その中にはアクセサリー、なかったでしょう?」

 それはそうだ。アクセサリーなんて真っ先に売り払った。元々数があったわけではないそれらは災害の修復作業代に当てた。そんなに高くは売れなかったが、それでも売らないよりはマシだったのだ。

「……それを貰うことは出来ません」

『借りる』は第一に壊してしまったらどうしようかと心配をするが、『貰う』はそんな心配などする暇もなく拒むだけだ。

 好意だからこそ明確に拒まなければいけない。

「なぜ?」
「貰う権利がありません」

 私は人違いの嫁だからだ。
 悲観するわけではなく、事実としてそれは私の胸の中にある。

 借金を返済するために、愛よりも金をとった私は線引きをしっかりとしなければいけないのだ。

 私がこの場に立つのは、いつか探し出してみせる本物の彼女がやって来るまでの期間なのだから。

「モリアちゃんは私の義娘なのに……」

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