愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 ラウス様とのやりとりは終わったらしいお義母様は、今度は私へと向き直った。

「あ、そうだモリアちゃん。この前一緒にお買い物行けなかったでしょう? だからハーヴェイにいくつか生地や糸を取り寄せさせたの。だから明日は一緒に刺繍でもしましょう?」
「はい」

 明日はダンスの個人練習でもするつもりだったのだが、以前買い物に行けなかったことを挙げられると断ることもできず、結局私の明日の予定は埋まってしまった。

 刺繍ならダンスよりもいくぶんか得意であるから気は重くならないのだが、生地や糸のことを思うと頭が痛いことには変わりない。

 だが私がすべきことは頭を抱えることではなく、せめて呆れられないように努めることなのだ。

 結局、その後ダンスレッスンが行われることなくお互いに別々の部屋へと帰った。
 もちろん私はといえば日課の筋力トレーニングとダンスステップの確認をしてから眠りについたのだった。

 思いの外、久しぶりのダンスは緊張していたせいか体力を消費しており、深い眠りにつけた。


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