愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
「アンジェリカもお母様も落ち着いて。姉さんもやっぱり初めはお兄様に贈るために作っているんだろうから、ね?」
「うっ……」

 私のために言ってくれたであろうサキヌの言葉は心にグサリと突き刺さった。

 一応、仮初めの、(仮)がつこうが今の私はラウス様の婚約者である。

 先日の外出の際、何があったかは全く覚えてはいないものの、部屋に飾られた花はラウス様からの贈り物であるというのは確認済みだ。

 ならば何かお返しをしなくてはならないと考えるのが貴族として、人としての常識ではないだろうか。失念していた自分が恥ずかしい……。

「義姉さん?」
「サキヌ、ありがとう」

 材料は頂き物だが、サキヌが遠回しにもそうしていいと教えてくれたのだからそうしない手はない。というより今の私にはこれくらいしかお返しものとして用意できるものなどない。

 サキヌの手を包み込むようにして心からのお礼を告げると、彼の顔はなぜか少しだけ赤らんだような気がした。

「ラウスお兄様ばっかりズルイですわ……」
「そうよねぇ……。私たちだってモリアちゃんのために頑張ってるのに……」

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