愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 その姿はお皿を割ってしまった子どものようで微笑ましく思える。当のお義父様も私と同じ気持ちのようで、二人に慈愛の目を向けてから「喧嘩はダメだ。いいね?」と言い聞かせた。

「さてお腹も減ったことだし、ご飯にしよう。こんな日はみんな揃って、な。いいだろ、ラウス?」
「…………はい、お父様」
「モリアさんもいいかい?」
「もちろんです」


 結局5年が何を指すのかわからぬまま、カリバーン一家と仲良く食事を取るのだった。



「あ……」
 ラウス様に渡す予定だったハンカチの存在を思い出したのは、カリバーン一家との食事が終わった時のこと。

 持ち帰りの仕事があるらしく、今晩はラウス様と一緒ではない。
 たかだかハンカチのためだけに仕事の邪魔をするのも憚られる。

 どうせ明日もまた会うのだからその時でいいだろう。

 そう決めて日課の筋力トレーニングと、ステップの確認を済ませることに決めた。

 筋力トレーニングを終え、思うのは自身の体力についてだ。
 すっかりサンドレア家にいた頃くらいには回復しつつある。だからだろうか、明らかに一日の運動量が足りていないと感じてしまう。

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