愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 冷たくなったシーツとは対照的にいまだ火照っている顔を押し付ける。おやすみなさいと言ったはいいが、こんなになってしまっては寝ることなんてできやしない。

 それは今日に限ったことではなく、カリバーン屋敷にやって来てからというもの頻繁に襲ってくるのだった。

 風邪を引いているわけではない。無性に恥ずかしくなって、そして集まった熱は中々引かずに残り続けるのだ。

 こんなに熱くては寝苦しくて堪らない。
 こんな時、思い出すのは決まってラウス様と話したことだ。最近はいつもそればかり。

 楽しいことを思い出そうとするとまず第一に上がってくるのだ。もちろんそうでない時もある。けれど、サンドレアでの出来事を思い返そうが、夜会でのことを思い出そうが、最終的には決まってラウス様に結びつく。

 この話は喜んでくれそうだとか、驚きそうだから隠しておこうとか。

 私は一体どうしてしまったのだろう。
 そうは思っていてもやはり今もいの一番にやって来たのはラウス様が話してくださった、ダイナス様とのこと。

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