愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 仲直りできたようで良かったと胸をなでおろす。だが私なんかが王子に会うなんてそんな恐れ多いことはないだろう。

 嫉妬からハンカチを取り上げるような、アンジェリカへの思いが強い人なのだ。断れるなら断りたい。

「お義姉様、その、私……嬉しくて、今度一緒に来ますわってお約束してしまったんですが、今度……一緒に来てくださいませんか?」

 だが若干潤んだ瞳で上目遣いをされては断ることも出来ず、口から出たのは正反対の言葉だった。

「もちろん」

 ぱあっと輝くアンジェリカの顔を目の前に私は少し胃が痛むのを感じたのだった。


「そうだ、アンジェリカ。明日はシャロンお義姉様のお屋敷に行くことになったから」
「叔母様のお屋敷に!?」

 シャロン様の屋敷に訪問する日が延びたと聞いて一番落ち込んでいたのは他でもないアンジェリカだった。そして一番喜ぶのもやはりアンジェリカなのだ。

 私の元に一時的にやって来ていたテディベアはいつも通りにアンジェリカの胸元で押しつぶされている。

 遠慮ない締めに心なしかテディベアの方も嬉しそうだ。彼にとってはアンジェリカの腕の中が居場所なのだろう。

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