愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 マクベス王子と和解したらしいということ。ハンカチを返してもらえたこと。そして今度は私もマクベス王子に会うことになったこと。

 微笑みながら聞いていたラウス様の表情が途中、一気に強張ったのは明らかだったが、私が自ら名乗りを上げたわけではない。断れなかったのだ。

 私の押しの弱さはラウス様も分かっていてか、あえてそれを突っ込んで聞き出すことはしなかった。だがその代償としてなんとも言えない空気が流れ出した。

 それを無理矢理どこかへと流してしまうように他の話題、明日叔母様の家に行くことになったことを告げると狙い通り、部屋の雰囲気は次第に和らいでいった。

「エリザはもう大丈夫なのか」
「エリザ?」
「叔母様のところのネコだよ。エリザって名前なんだ。確かモリアにも一度会ったことがあるみたいだけど……覚えてないか?」
「え? えっと、どのようなネコでしょう?」
「白くて長い毛でサファイアみたいな真っ青な瞳をしているネコなんだが……見てみたほうがわかりやすいと思う」
「白くて長い毛の、青い目のネコ、ですか……」

< 267 / 341 >

この作品をシェア

pagetop