愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 そしてそのまん丸いボールのようなグスタフをアンジェリカとお義母様は幸せそうに眺めている。

 さすがグスタフの名を継ぐ者だけあって態度の大きさと癒やし効果は抜群である。

 私達の馬車が屋敷に着くと、私の膝から降りて自らの足で歩き出したグスタフではあるが、基本は私の近くから離れる気はないらしい。

 私が歩くとその短い足でトコトコと付いてくるのだ。

 その姿を愛らしいと眺めている、サキヌを仲間に加えた3人にバレないよう、こっそりとグスタフに「心配しなくてもドジなんてしないから」と耳打ちする。すると彼は呆れたようにふんと鼻を鳴らした。

 …………どうやらグスタフの心配性と私への信頼のなさは正常に受け継がれているようだ。

 猫は9つの魂を持つと言われているし、私が心配でやってきた、なんてこと……グスタフなら実行しそうな気がする。

 となれば私の幼き日の失敗の数々に関する記憶も受け継がれている可能性も高く、信用されていないのも諦めざるを得ないのだった。

「ただいま……ってその子は?」

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