愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
「ふん」

 グスタフが心外だとばかりに鳴いて、そして彼は注意をしたはずの私の方を見つめる。

「あ、うん。グスタフより私が気をつけなきゃ、なんだけどね……」

 私の過去のほぼ全て記憶しているのだろうグスタフには本当に敵わない。
 彼の目の前で割った花瓶や皿の数は計り知れず、そして私の記憶の中の彼がそれらを割ったことは一度もない。

 身体の周りにたわわとお肉をつけているわりに、ネコらしく機敏な動きをするのだ。
 窓際に登ったグスタフを抱きかかえると、ジッとその花を眺めた。

「これ、ブーケに出来ればいいんだけど……材料、ないもんな~」

 すでにお花から興味がなくなったらしく、目を閉じかけているグスタフが完全に眠りの世界へと旅立つまで、私はその花を眺め続けていた。

 翌朝、目が覚めるとお腹に何やら重みを感じた。
 その重みの正体に「おはよう、グスタフ」と声をかけると私よりも早く起きていた彼は「ぶにぁ」と鳴いて床へと軽やかな着地を披露した。

 そしてすっかりと目が覚めた私は昨日できなかったからちゃんとしなきゃ! と気合いを入れてから日課の筋力トレーニングに取り掛かる。

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