愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 何かが乗っかっているような重さがあるのだ。おかしい。嫌な予感がすると、布団をめくってみれば、そこには猫のように身体を丸めた黒い塊があった。

 ラウス様だ。瞼を閉じて、寝息をスースーと立てていようが間違えようはない。

 一応夢じゃないかと疑って自分の頬を思い切りつねったり、目をギュッと閉じては開いて確認してまた閉じて、を三回ほど繰り返したがやはり変わらずラウス様はそこにいる。

 どうやら私は主人を差し置いて、ベッドを堂々と使用していたらしい。役目の途中で気を失うわ、主人の寝床を取るわ、散々すぎる。この失態が原因で、サンドレアに突き返されたらどうしよう……。

 初めてを捧げたことになるので、その点は考慮してもらいたいが、それで借金帳消しにしてはくれないだろう。

 優しく抱いてくれたとはいえ、相手はカリバーン。知らぬ存ぜぬで通されれば初めての証明など出来るはずもない。

 サーっと顔から血の気が引いていく。
 この状況を切り抜ける良い方法はないのだろうか?

 頭をフル活用して、挽回方法を考える。けれどなかなか浮かばない。

 そう、私は頭がいい方ではないのだ。
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