愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 グスタフがいっぱい食べるのなんて今に始まったことでもないからか、特に怪しんだ様子はない。

「今日、城の庭園の花が満開になったんだ」

 私がご飯をここぞとばかりにかき込む中、ラウス様がいつものように今日の出来事を話してくれる。それが今日で最後になるのは、少しだけ悲しかった。

 この数週間でたくさんの思い出が出来た。
 愛より金って思ってカリバーン家へとやって来た当初はそんなこと思ってもみなかったのだから不思議な話だ。

 だがその考えは今でも変わらずに私の中にある。
 どんなに情が湧こうともラウス様にとって私は勘違いで嫁にとろうとしてしまった女であり、私にとってこの場にいるのはお金のためなのだ。


 …………そうでなくてはいけない。
 片方が破綻したらもうその関係は成り立たない。それは仕方のないことなのだ。

 たとえお義母様やシャロン様、そしてレトッド家のお屋敷のネコ達が歓迎してくれていたとしても、当の本人たちの気持ちを無視してまで押し進めていいとは思えないのだ。

 それは恋愛結婚を繰り返して来たサンドレアならではの考えだろう。

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