愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
「モリア。まず初めに君が見かけたというのは恐らく、ハンドルケール家の三女のことだろう。上二人は髪の色が違うからな。そして彼女だが……最近デビュタントを迎えたばかりの16歳だ。もちろん5年前の夜会には出席していない。次に私がモリアに辿り着いたのはあの日の出席者名簿に書かれた名前を全て照合していったからだ。今回、君が似ていると証言したハンドルケール家の令嬢もそうだが私が間違っているということは確実にない」
「……」

 口早に告げられたその真相に私の頭はショートした。
 それはまるでラウス様は確信を持って私を愛してくれていると語っているようなものだったのだ。

「なぁモリア、やはり俺みたいな、約束を忘れてしまうような男は嫌いか?」
「そんなことはありません! けど……」
「けど?」
「私があの夜着ていたドレスには薔薇の刺繍なんてないんです!!」

 そう、私はラウス様のその告白を聞いてもまだなお彼の言葉を信じることはできないのだ。

 私はサンドレアの屋敷であのドレスを見てしまったから。

「どういう、ことだ?」
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