愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 小さく頭を下げれば、ラウス様の胸にぶつかる。
 するとお辞儀が気に入ったらしく、良い子良い子と頭を撫でてくれた。


「モリアは可愛いなぁ」

 きっと年の離れた妹の世話を焼いているような気分なのだろう。お姉様もお嫁に行く前はよくこんな顔をして世話を焼いてくれたものだった。

 けれど性別が異なるからか、ただリボンを結って貰っているだけなのに、私の胸はドキドキと高鳴る。

「できた」

 一番上のリボンをキュッと締められれば、ドッと疲労感が押し寄せてくる。


 はぁ……私、これからここでやっていけるのかな……。
 悩みを抱えたまま、ラウス様の手に引かれるがままに膝に乗せられる。

「モリアは可愛いなぁ」
 ラウス様はそう呟いて抱きしめる。

 どうやら私はお人形の役目も兼任していたらしい。
 それからしばらく経っても解放されることはなく、ついに朝食を部屋で取ることになってしまった。

「あの食事くらい、自分で……」
「随分と無理をさせてしまったからな」

 親切そうな表情と共に、スプーンを私の口元へと運ぶラウス様。

 恥ずかしいが、これもお人形の勤め。
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