愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 拳を固めて今日こそは! と意気込めば「行ってくる」と額にキスを落とされる。

 昨晩と同じキス。
 その後始まった行為を思い出して身体が火照る。けれど二度目以降が降ってくることはない。

 ラウス様は部屋を去り、パタンとドアが閉じる。
 昼間お休みを貰った私は一人残された部屋で、薄く濡れた蕾を持て余すことしか出来なかった。



 ゆっくりしていてくれ、と言われたのをいいことに、私はベッドに寝転がった。そしてゆっくりと目を閉じた。


 ーー再び目を覚ませば窓の外にはなじみ深い白んだ空気が満ち満ちていた。


 朝だ。
 昨日に引き続き、身体の時計はしっかりと『朝の起床時間』には反応してくれたらしい。

 そう、私は自分の役目を無視してぐっすりと寝こけていたのだ。

 昨日、いや一昨日に続きなんてことをしてしまったのか!

 実家から公爵家までの長時間の移動で疲れていたなんて言い訳にしかならない。

 ラウス様は気を使ってくださったのか、布団をめくっても同じベッドに姿は見られない。

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