愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 お父様たちに「私が行くから」なんて大見得切った手前、初めより状況を悪くして帰るわけにもいかない。

 一度部屋に戻り、完全に持て余してしまっている大きな部屋で円を描くようにしてグルグルと回る。


 どうしよう……何か印象回復になりそうなものは……。

 ふと窓へと視線を移せば、庭を手入れする男の姿が目に入った。


 これだ!
 私の出来ること、それは土いじり!

 野菜を育てるのと花を手入れするのは要領が違うだろうが、昨日出された料理と同じかそれ以上のクオリティのものを作ることと比べたら断然失敗する可能性は少ない。

 善は急げと部屋を抜け出して庭へと向かう。
 とりあえず、一階に行けばいいんだよね。それからドアを探して外に出て庭に向かえばいい。

 たくさんのドアから自室を探すよりも簡単だと思えたそれはやはり私には難しかったらしく、結局は途中で出会った使用人に道を尋ねた。

 一昨日のラウス様の言葉通り、先ほどの使用人といい、今の使用人といい、みんな優しく道を教えてくれた。

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