愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 それがお前なんぞは戦力外だからあっちいってろという意味ではないことを祈りつつ、少しでも役に立てるようにと早足で庭へと向かった。

 庭には窓から見えた男の他にあと二人いたようで、彼らは新しく植える予定の花を運んでいた。その中でも比較的押しに弱そうな、頭にタオルを巻いた男に声をかけた。


「お花の植え替えのお手伝いをさせていただけませんか?」
「そ、そんな……ダメです。モリア様のお服が汚れてしまいます」

 予想通り、先ほどの使用人と同じようにやんわりと断られたが、ここで引くわけにはいかない。

 これは私がこの屋敷で生き残るためのごくわずかな可能性なのだから。

「汚れたら洗えばいいのです。それでこれはどうすればいいですか?」

 先ほどの使用人には下手に出て逃げられてしまった。
 だから今度は半ば強引に出ることにした。そのために押しに弱そうなこの男を選んだのだ。

 手元から花を一鉢取って、他の男たちの真似をしながら植えて行く。

「モリア様!」
「えっと……こう? いや、こっちの方がいいかしら? よければ教えていただけませんか?」
「はい……わかりました」

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