愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 思えば何か役に立たなければと躍起になっていたがこの仕事を与えられていたのは私ではない。

 手伝うどころか仕事を無理やり奪い取って、あまつさえ邪魔までしてしまっていた。

 自分の仕事も全う出来ずに、だ。
 お怒りになるのも当然かもしれない。

「実家では野菜は育てていましたので、何かお手伝いできると思っていたのですが……その、お花にはあまり詳しくなくて……。お手伝いをするどころか教えてもらうことばかりで、申し訳ありません……」

 男たちに向かって深々と頭を下げると、先ほどまで隣でせっせと植え替えをしていた男たちはいつの間にかタオルと手袋を外し、そして私の言葉を否定するように身体の前で手を振った。

「そんな、とんでもございません。モリア様にお手伝いいただけたおかげでこんなにも庭が美しく変わりました」

 男たちは、あんなにも強引にやってきた割に大して使えないどころか邪魔をしてくる私のことを陥れるなんてことをしなかった。

 カリバーン家の使用人はやはり優しい人ばかりなのだ。


「そうだ、モリア。朝食の時間だよ」
「お知らせいただきありがとうございます」

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