愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 これからはちゃんと後先を考えて行動しなければ……と胸に刻み付ける。

「行こうか」

 手を引かれ、連れてこられたのはダイニングルーム。一昨日の夜と同じように二つの空席を残して全て埋められている。

「…………」

 言葉に詰まった。ラウス様は明らかにあの空席に私を座らせようとしていると、今更ながらに察知したからだ。

「どうかしたか?」
「えっと……その……私はラウス様たちが召し上がった後で食事を摂らせていただきますので……」

 今更、本当に今更だが今言わなければなし崩しにカリバーン一家と再び食卓を囲むことになる。借金を抱えてやって来たばかりの私が……だ。

 それはマズイ。非常にマズイ。

「え?」

 スススっと後ろに数歩引き下がれば、私以外のこの場にいる全員の声が同時に放たれた。
 そして席に着いていた四人が私めがけてズンズンと距離を詰めてくる。

「私が何か気に障ることしましたか?」
「なんでもいってちょうだい。すぐに直すから!」
「それともご飯が口に合わなかったのか? なんなら今からでもシェフに作り直させる」

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