愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 涙を必死にこらえる私の正面でラウス様はおでこに手のひらを当て、天井を仰いでいた。

「……やっと、やっと手に入ったのだとばかり……。ははは、そうか……どうりで、どうりで何かがおかしいと……」

 乾いた笑いを挟みながら天井に向かって独り言を言うラウス様は何かがおかしくなってしまったようだ。

「ラウス様?」
「モリア!」
「はい」

 おでこから手を外し、そして両方の手で私の肩をガシっとつかんだラウス様は、一つ大きな呼吸をして私の目をまっすぐに見て言った。

「カリバーン家に嫁いで来てはくれないか?」
「え?」
「しっかりと確認せずに行為に及んだことは謝罪のしようがない。けれど愛しているんだ。欲しいものがあれば何でも買ってやるし、この先何の不自由もさせないと誓う。だから……」
「はい、わかりました」

 追加で条件をポンポンと挙げるラウス様の勢いに私は白旗を挙げる。

「いいのか?」
「はい。それで私はどなたと結婚すれば良いのでしょう?」

 元より借金のカタとしてやってきたのだ。
 どんな相手の妻にだってなる決心はついていた。

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