愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 ならば今の季節の花々で色合いよく作るのがいいだろう。

 サンドリアの領土の山にはちょうど夏の花がたくさん咲いていることだし、そこから見繕ってくることにしよう。


 ラウス様は目の前に広がっていた食事を全て平らげると、口を拭って席を立ち上がった。

「俺は仕事に行くが、モリアはゆっくり食べていてくれ」
「ではせめて玄関までお見送りさせてください」

 さすがにラウス様と同じ量を食べるのは難しく、残してしまっているものもある。

 席を立ち辛かったのだがこれ幸いと食事の席を後にする。
 量をもう少し少なめにしてほしいと告げるのは後にして、後ろに控えていた使用人に「ごちそうさまでした」と告げてラウス様の隣を歩く。

 玄関まで着くとそこにはラウス様の荷物を手にした使用人が数人立っていた。
 その中には銀縁眼鏡を今日も調子よくキリリと光らせたハーヴェイさんもいる。去りゆくラウス様の馬車を見送った後で、彼に話しかけることにした。


 内容はもちろんブーケについてだ。


「結婚式のブーケを作りたいのですが、サンドリア領まで連れて行ってもらうことはできますか?」

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