愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
頭は定位置に戻したが、視線はラウス様を直視できない。
こんなことだったら大人しく部屋にでも引っ込んでいればよかったと今更ながらに後悔しても遅いというものだろう。
はぁ……っと小さくため息を吐くとようやく固まったままのラウス様が動き出す。
「モリア、とりあえず夕飯でも食べようか」
「……はい」
未だに表情の硬いラウス様と失敗が重くのしかかる私は無言で朝と同じ部屋へと足を運んで行く。
けれど朝とは違い、その部屋の前には仁王立ちをして胸の前でテディベアを抱える少女と、その少女をどうにか説得しようと焦る使用人の姿があった。
その少女は確かラウス様の妹さんだったような……。
かすかに残る昨晩の夕食の席の記憶に彼女とよく似た少女がいた。それに少女の胸に大事そうに抱えられたテディベアは確かに今朝方、彼女の膝の上に乗っているところをチラリと目にしている。
「アンジェリカ? 何をしているんだ?」
彼女はどうやらアンジェリカというらしい。これで名前の問題は解決したといえよう。よかった、よかった……と胸を撫で下ろしたいところだが彼女の発する雰囲気がそれを許さない。
こんなことだったら大人しく部屋にでも引っ込んでいればよかったと今更ながらに後悔しても遅いというものだろう。
はぁ……っと小さくため息を吐くとようやく固まったままのラウス様が動き出す。
「モリア、とりあえず夕飯でも食べようか」
「……はい」
未だに表情の硬いラウス様と失敗が重くのしかかる私は無言で朝と同じ部屋へと足を運んで行く。
けれど朝とは違い、その部屋の前には仁王立ちをして胸の前でテディベアを抱える少女と、その少女をどうにか説得しようと焦る使用人の姿があった。
その少女は確かラウス様の妹さんだったような……。
かすかに残る昨晩の夕食の席の記憶に彼女とよく似た少女がいた。それに少女の胸に大事そうに抱えられたテディベアは確かに今朝方、彼女の膝の上に乗っているところをチラリと目にしている。
「アンジェリカ? 何をしているんだ?」
彼女はどうやらアンジェリカというらしい。これで名前の問題は解決したといえよう。よかった、よかった……と胸を撫で下ろしたいところだが彼女の発する雰囲気がそれを許さない。