愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 それに荷物を運ぶくらいならここまでいいとこなしの私でも役に立てるかもしれない。
 そうと決まれば急いで玄関まで足を運ぶ。

 するとすでに出遅れていた私の目に入ったのはそれぞれコートを脱ぎ、カバンを使用人へと手渡していたラウス様とお義父様の姿だった。

 これでは何のために来たのかわからない。
 周りを窺うとお義母様は帰って来たお義父様と今日あった出来事を話しており、使用人達は一様に頭を下げている。

 お義母様のように歓談することは出来ないが使用人達の真似なら出来る!

 そう思って「おかえりなさいませ」とラウス様に頭を下げたものの、あまりラウス様の反応は良くなかった。いやむしろ悪かった。

 私に焦点を合わせて固まってしまっているのだ。
 そんなに不恰好でもなかったと思うのだが、何か気に入らない点でもあったらしい。

 精鋭揃いのカリバーン家の使用人と、その見よう見まねでやって見た私とでは完成度の差は歴然なものなのだろう。

 たかが出迎え、されど出迎え、だ。

 疲れて帰って来たのに中途半端なものを見せられてしまって機嫌を害してしまったのだろう。

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