私のぷくっと膨らんだキモチ、今が食べごろです
あわてて口を拭こうとデスクの上にあったティッシュを手に取る。
すぐさま粉をどうにかしなきゃって思ったけど、思わず目をぱちくりさせてしまった。

こんなことを言われたのは初めてで、一瞬何を言われてるのかわからなくて…


え、これは今夜どうって誘われてるの?


「取引先の会合なんだけど、桜木空いてないかな?竹野主任行けなくなっちゃって」

そう言われてハッとした、竹野主任の名前を聞いてすぐに思考が追いついた。

なるほど、そうゆうことね!
別にプライベートで誘われたとかそんなんじゃ…っ

「予定あるならいいけど」

「ないです!行けます、全然行けます!」

ないこと、わかってるし。
やましい想像をしようとしてた自分を打ち消すようにはいっと手を上げた。

「よかった、じゃあよろしく」

「はい!」

ちょっとドキッとしちゃったの、そんなこと眞尾先輩が言うわけないってわかってるけど一瞬ぽっと頬が熱くなるような感覚に襲われて。

食事のお誘いとかだったらどうしようって、面と向かって頬張る眞尾先輩が見られるかもしれないって想像したら…!

絶対最後のデザートは大福にしてもらいたい、とか。

お腹いっぱいになった後も、めいっぱい頬張ってくれるのかなーって一気に結末まで想像しちゃった。

そんなほっぺをつんって、あわよくば…

「桜木」

「はいっ」

そんな邪心を誤魔化すように残りの大福を口の中に詰め込んだ。
このままさっさと飲み込んでしまおう、邪心と一緒にごくんっと飲み込んだらお茶で流し込んで仕事モードに切り替えないと。

「今、何想像してたの?」

って、無理やり流し込もうと思ったのにニヤッと眞尾先輩が笑うから。見透かしたみたいに笑うから。

「な、何もしてません!」

喉に詰まるかと思った大福を思いっきりごくんっと飲み込んだ。キッと眉を上げて、眞尾先輩の方を見ながら。

「何もしてません!」

「なんで2回言ったの?」

何も、してませんから。

まだ何も、想像の中でもしてません。


してないですから!
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