おくれなば


ちくり、ちくり。


また、心臓をつねられるような感じ。


「……っ、」


じっとしていられず、立ち上がってベランダにいる友達のところへ歩く。

部活で仲良くなったクラスメイト。
一緒にお弁当を食べたり休み時間によく話したりするグループ。


カラカラ、とガラスの引き戸を開けると、私に気づいたみんなが笑顔を向ける。


「桜おはよー」

「みんなおはよ!え、これ新色のリップ!かわい〜」

「ほらー、やっぱ桜なら食いつくと思った〜」

「春限定のブロッサムシリーズだもんねー!」

「可愛いよねっ」


梅ちゃんと違って、こっちの女子たちはみんな、個性を活かしたメイクをしたり、お洒落な制服の着こなしをしたり。

校則なんてあってないようなものという価値観。


客観的にみてクラスの一軍になっていると思う。

その輪に自然に溶け込んでいる私。
とても居心地がいいし、一緒にいるだけで楽しい。


見失っていた優越感を、取り戻せた気がした。


そうして和気あいあいとおしゃべりしていると、いつの間にか胸の痛みは消えていた。

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