おくれなば
桜
「白木 桜です。中学ではバスケやってました!よろしくお願いします!」
入学式のあと、各ホームルームではこれから1年間をともに過ごす仲間たちの自己紹介が行われていた。
ぱちぱちぱち、と拍手の中を早足に歩き、教室のど真ん中にある自分の席へ戻る。
「結構可愛くね?」
「思った。スタイルも抜群じゃん」
そんなひそひそ声は聞こえないふりをして。
涼しい顔を装い、心の奥だけでニヤニヤする。
私は知っている。
自分の容姿がそれなりに可愛くて、それなりに男ウケが良くて、それなりに自信を持っていいことに。
学校一の美女というほどじゃないけど、持ち前の愛嬌と気さくな性格のおかげでモテる方だったと思う。
中学の時、女子バスケ部の中では異性に告白された回数が一番多かった。
でもバスケに夢中だったから、彼氏は作らなかった。
それに勉強は得意じゃなかったから、この高校に入るために恋愛なんてする暇はなかった。