おくれなば


そうですか……と呟いて目線を落とす梅ちゃん。

気まずい空気が流れ、何気なく窓の外を見る。


桜の木から白い花吹雪が散っている。

空中を舞う花びらたちは春を告げる役目を終え、新緑の地面へ次々と着地した。


「……ライバルですね」

「え?」

「これは宣戦布告です。橘くんがどっちを選んでも、恨みっこ無しですから!」


強い口調でそう言ってのけた梅ちゃんは、挑戦的な笑みを浮かべていた。


それにつられて、私も自然と口角が上がる。


「受けて立つ!」


はっきりと宣言し、拳を突き出す。



「橘くんの隣は譲りません」


ふふ、と目尻に柔らかいしわを作り、こつんと拳をぶつける。


「私だって!絶対振り向かせてみせるっ」


拳を下ろしてぐっと力を込める。


さあ、紅白恋合戦、開幕だ。


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