恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
「その格好は、俺の気を引くための作戦なのか?」

「……はい?」

 一瞬、言葉の意味が理解できず、思考がぴたりと止まる。

(気を引くため? むしろ、存在を消してほしいくらいなのに?)

「まあいい。とりあえず、俺の恋人役を任命する」

「ええっ⁉ 冗談はおやめください。お断りします!」

 その言葉には、間髪入れず即答した。少しでも迷いを見せれば、副社長に押し切られる――そんな予感がしたからだ。

「即答って、何が不満だ?」

「……」

(断られるとは微塵も思っていない、その態度が不満なんですけど……)

 私は表に出せない不満を内心で叫ぶ。
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