恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
『では、御用がございましたら何なりとお申し付けくださいませ』

『ありがとう』

 驚きで言葉を失っている私を残し、スタッフたちは丁寧に一礼すると静かに部屋を後にした。

 隣に立つ要さんを見ると、まるで予定どおりだと言わんばかりに満足そうな笑みを浮かべている。

 こうなった以上、もう覚悟を決めるしかなさそうだ。

「ほら、どっちの部屋にするんだ?」

「見てきます」

 選ぶまでもない。どう考えてもメインのベッドルームは要さんの部屋だ。私はそう結論づけると、部屋の確認も兼ねてそれぞれの扉を開けて回った。

 スイートルームどころか、高級ホテルそのものに縁のない私は、その豪華で広々とした空間に思わず息を呑む。

 リビングだけでも十分すぎるほど広いのに、ベッドルームはさらに贅沢な造りになっていた。大きなベッドに上質そうな家具、そして大きな窓から差し込む柔らかな光。

 しかも驚いたことに、それぞれのベッドルームには専用のトイレとシャワールームまで完備されている。

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