恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
 本当は、どうして同じベッドで眠っていたのか気になって仕方がなかった。何も間違いはなかったはずなのに、私にとっては添い寝をしたという事実だけで、内心では叫びたくなるほど驚いている。

「今は……十一時だな」

「ええっ⁉」

 朝どころではない。もう昼前ではないか。仕事で出張に来ているというのに、ここまで緊張感がない自分自身にも驚いてしまう。

「慌てなくても大丈夫だ。出かけるのは昼からだ」

「えっと……どちらへ?」

「まだ秘密だ」

 イケメン御曹司が、人差し指をそっと唇の前に立てて微笑むなんて反則ではないか。

 その仕草があまりにも絵になりすぎていて、胸がドキドキと高鳴った。心臓が忙しなく脈打ち、息苦しさまで覚えてしまう。

 そんな顔を見せられたら、それ以上突っ込んで聞けるはずもない。私はひとまずベッドから降りると、自分のベッドルームへ逃げ込むように駆け込んだ。

「ふうぅ……」

 一人になった途端、ようやく息をつけたはずなのに、胸の鼓動は少しも落ち着いてくれない。

 無自覚なのか、それともわざとなのか――私の心をこんなにもかき乱すのは、本当に勘弁してほしい。

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