恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
「これは一体どういう……」

「明日のパーティーに向けて、フルコースで頼んでいたんだ。満足できたか?」

「はぁ……」

 満足も何も施術中はずっと戸惑っていた。婚約者役をするのに着飾ったところで、私では奥様を納得させることなんてできないはずだ。所詮は付け焼き刃に過ぎない。

『時任様、ご依頼いただいておりましたパーティー用のコーディネート一式は、明日までこちらで大切にお預かりさせていただきます』

『お願いします』

『畏まりました。それ以外にご依頼いただいておりましたお洋服につきましては、いかがいたしましょうか』

 パーティー用のドレスだけではない。スーツや普段着として着られそうなカジュアルな服まで、気づけばかなりの数を試着させられていた。

『それは日本に送ってください』

『畏まりました』

「ええっ……? 日本に送る?」

 あまりにも予想外の言葉に、思わず素っ頓狂な声が出てしまう。そんな、とんでもない依頼をさらりと口にしていた。

「そうだ。俺のパートナーとして、これから色々必要になるだろう?」

「パートナー……って、お仕事のですよね? だったら、どうして普段着まで必要なんですか?」

「どうしてだろうな」

 そう言って、要さんは意地の悪そうな笑みを浮かべるだけだった。わざと答えをはぐらかしているのが見え見えで、私は思わず頬を膨らませる。


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