恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
「もう終業時間ですよね? 今日のところはこれで失礼します! お疲れさまでした!」
一気にまくし立てると、私は鞄を引っ掴み、副社長室とは反対側の扉――廊下へと逃げようとした。
ノブを掴み、下げて手前に引こうとした、その瞬間――
後ろから伸びてきた手に動きを阻まれる。
背後から、私の頭上を越えて伸びたその腕が、扉を押さえていた。私の身長は一六三センチで、女性の中では決して小さい方ではない。
それでも、長身の副社長を前にすれば、敵うはずもなくて――
恐る恐る振り返ると、彼はにっこりと微笑んでいた。
「俺から逃げようなんて、いい度胸じゃないか。ますます気に入ったな」
そんな、不穏な言葉が耳元で落ちる。
私はただ、仕事を認められたいだけだ。できることなら、プライベートで関わるのは避けたい。
あの時、教室の外で聞いてしまった、あの言葉。それがトラウマとなって、今もなお、頭の中で何度も繰り返されていた。
一気にまくし立てると、私は鞄を引っ掴み、副社長室とは反対側の扉――廊下へと逃げようとした。
ノブを掴み、下げて手前に引こうとした、その瞬間――
後ろから伸びてきた手に動きを阻まれる。
背後から、私の頭上を越えて伸びたその腕が、扉を押さえていた。私の身長は一六三センチで、女性の中では決して小さい方ではない。
それでも、長身の副社長を前にすれば、敵うはずもなくて――
恐る恐る振り返ると、彼はにっこりと微笑んでいた。
「俺から逃げようなんて、いい度胸じゃないか。ますます気に入ったな」
そんな、不穏な言葉が耳元で落ちる。
私はただ、仕事を認められたいだけだ。できることなら、プライベートで関わるのは避けたい。
あの時、教室の外で聞いてしまった、あの言葉。それがトラウマとなって、今もなお、頭の中で何度も繰り返されていた。