恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
***
「「……」」
あまりの逃げ足の早さに、俺と隅田は一瞬ぽかんとしていた。
「はぁぁ……。隅田、お前のせいで獲物に逃げられたじゃないか」
「あの……一体、これはどういうことですか?」
面白がっている俺とは対照的に、隅田は眉間に皺を寄せ、困惑を隠せない顔をしている。
「みのりを恋人役にするつもりだったが――恋人にすることにした」
「……はい? 副社長は何の冗談をおっしゃっているんでしょうか?」
「二人きりの時くらい、“副社長”なんて歯の浮くような呼び方はやめろ」
「要、お前は何を考えてるんだ?」
俺を“要”と呼ぶ目の前の男――秘書室長を務める隅田は、俺より十歳年上の三十八歳だ。大学時代、俺の家庭教師として時任家に出入りしていた縁で、この会社に入社し、今では秘書室長にまで出世している。会社では立場が逆転しているが、プライベートでは今でも兄貴のような存在だった。
「何って、お前がみのりを俺の秘書にしたんだろう?」
「それは、彼女が真面目で適任者だと評価しているからです」
「「……」」
あまりの逃げ足の早さに、俺と隅田は一瞬ぽかんとしていた。
「はぁぁ……。隅田、お前のせいで獲物に逃げられたじゃないか」
「あの……一体、これはどういうことですか?」
面白がっている俺とは対照的に、隅田は眉間に皺を寄せ、困惑を隠せない顔をしている。
「みのりを恋人役にするつもりだったが――恋人にすることにした」
「……はい? 副社長は何の冗談をおっしゃっているんでしょうか?」
「二人きりの時くらい、“副社長”なんて歯の浮くような呼び方はやめろ」
「要、お前は何を考えてるんだ?」
俺を“要”と呼ぶ目の前の男――秘書室長を務める隅田は、俺より十歳年上の三十八歳だ。大学時代、俺の家庭教師として時任家に出入りしていた縁で、この会社に入社し、今では秘書室長にまで出世している。会社では立場が逆転しているが、プライベートでは今でも兄貴のような存在だった。
「何って、お前がみのりを俺の秘書にしたんだろう?」
「それは、彼女が真面目で適任者だと評価しているからです」