恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
「で? 相手はあの男だよな?」

「はい……」

 隠しても無駄だと思い、私は素直に白状した。貴明を擁護するつもりは毛頭ない。けれど、要さんの立場を考えると、できるだけ穏便に済ませたいというのが本音だった。

「あとは俺に任せろ」

「ええっ?」

 そんな私の願いは、あっさりと打ち砕かれる。要さんは明らかに何かを企んでいるような顔をしていた。

「みのりの無事も確認できたし、俺は戻るよ」

「会社に戻られるんですか?」

「ああ。隅田が待ってるしな」

 きっと連絡を受けて、仕事の途中で駆け付けてくれたのだろう。

 その事実が嬉しくて、胸の奥がじんわりと熱くなった。

 下心ばかりで計算高かった元カレとは違う。要さんは仕事もできて、スペックも高く、そのうえ容姿まで申し分ない。何をやらせても隙がなくて、要さんが上司で良かったと思っている。

「また明日」

 そう言って颯爽と去っていく後ろ姿を、私はしばらく見つめていた。

 尊敬と憧れが入り混じった気持ちで……

 仕事のできる要さんは、きっともう次の一手を考えている。そして実際に、彼は早速動き出していた。

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