恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
 受け取った社長は、さっと中の資料に目を通している。

「道井、高橋専務を呼んでくれ」

「畏まりました」

 そう言って社長室を出て行った道井さんは、数分後、でっぷりと太った男性を連れて戻ってきた。

「社長、一体何事ですか? ん? お客さんですか?」

「こちらはTOKITOグループの時任副社長だ」

「ほぉ? 彼が。麗美が君に憧れているようでなぁ。縁談を申し込もうと思っていたんだ。ちょうどそちらから来てくれるとは、実にいいタイミングだな!」

 自分の娘がTOKITOグループにコネ入社し、どれほど醜態をさらしているのか想像もしていないのだろう。自慢の娘だと信じて疑わない様子だ。

「お断りいたします」

「はぁ? 何だと⁉」

 まさか即答で断られるとは思ってもいなかったのだろう。要さんがきっぱりと言い切った瞬間、ニヤニヤと浮かべていた表情が凍りついた。


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