カットNG、恋はOK ~髪フェチ美容師は失恋女子を放っておけない~
気まずくなったふたりは黙り込む。
ふたたび歩き出した先に、蒼人が言っていたカフェがあった。言われなければカフェだとわからないような見た目の小さな平屋建てだ。
扉を開くと隠れ家的なDearstarによく似たウッディでモダンなデザインの内装が迎えてくれた。
「さっきの話ですが」
背の高い観葉植物で区切られたテーブル席についた蒼人が栞奈に話しかける。
メニュー表を眺めていた栞奈が顔をあげると、視線が合った。
「初めてあなたの髪を見たとき、なんて理想的な髪なんだろうと髪に一目惚れしました。本能的に切りたくないとも思いました」
「それは、前に聞いた気がします」
「だけど俺は美容師で、お客さんの要望に応えるのが仕事だから。それに、浅倉さんの髪が長かろうが短かろうが俺はもっとあなたを知りたくなってしまいました」