カットNG、恋はOK ~髪フェチ美容師は失恋女子を放っておけない~
「それは好みに合わせていただけ。もっとおとなしい子がよかったんでしょ?」
「そりゃ……まあ」
「わたしは自分で髪を切ることを選んだ。それだけだよ」
栞奈が言い返すと、彼女に追従するように蒼人が並ぶ。
「長くても短くても、あなたの髪は綺麗です」
ぽつりと呟く彼に目線を落とし、元カレが苦笑する。何か言い返すかと思ったが、頬を可愛らしく膨らませている新しい恋人を待たせていたことを思い出したのだろう、無言で逃げるように去っていった。
「……なんなのよもう」
「あのひとが元カレ?」
「そうです。ごめんなさい」
「何がですか」
「峰岸さんだって最初は髪を切りたくないと思ったんですよね」
「そりゃあ、まあ……」