俺様鉄面皮上司が偽装彼氏になりまして。
 ――すみませんの連続で、あまりにも多いから、一度、彼女を、叱ったことがある。
 そんなにすみませんと言うことはないよと。
 代わりに選んだのは、申し訳ありませんの道。
 彼女が行くのは修羅の道。
 生理痛や、眼精疲労に、パソコンの見過ぎによる頭痛に悩まされても、休むことなど許されず、収容所のように、どんどん、みんな、離脱していく。最後まで立っていられるのはこころもからだも頑丈な人間のみ。『夜と霧』の作者は、妻子を殺されても生き残っていた。なにが、そこまで、彼を駆り立てたのだろう。そこまでして生きる意味とは、なんぞや。
「かしこましました。……イイヌマに、十五時過ぎに必ずお電話をするように、お伝えします。お待たせして申し訳ありません。……かしこまりました。ありがとうございます。失礼致します」
 電話を切ると彼女はすぐにイイヌマさんあてにメールを打つ。
 だが俺は分かっている。
 メールなんて一日に三桁届くこの業界。重要なメール、そうでないものを、見た瞬間即座に選別するスキルも問われる。
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