俺様鉄面皮上司が偽装彼氏になりまして。

 一緒にぎゅうぎゅうの東横線に乗る。
 なんと、最寄り駅は互いに、もとすみで、ご近所さん。
 道理で、あの日、眠るまで待っていると言ったはず、だった……。
 う。睡魔があたしを襲う。土日は比較的、受電もないから、早く帰れるだけに、うっかりすると寝落ちしそうになる。
 そんなあたしの背中に手を回し、黙って支えてくれているのがこの上司……偽装彼氏だった。
 嘘でもいいから一緒にいたい。
 そんな感情が芽生えるのが不思議だった。――時枝さんなら信用できる。あたしのなかの本能がそう告げている。有能な、古くから村を守る占い師のように。

< 31 / 32 >

この作品をシェア

pagetop